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Channel: KANTO's パン焼き人は荒です(^^♪
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「おらおらでひとりいぐも」を読む

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芥川賞受賞作品である
著者若竹千佐子は受賞時63歳という高齢の新人であり
テーマもひとまず高齢者の抱える問題ということになろうか

この本の見返しにある略歴では
「1954年岩手県遠野市生まれ
岩手大学教育学部卒
現在、主婦」としてある

また表紙②には次のような惹き句が付されている
<結婚を3日後に控えた24歳の秋、東京オリンピックのファンファーレに押し出されるように、故郷を飛び出した桃子さん、身ひとつで上野駅に降り立ってから50年・・・住み込みのアルバイト、周造との出会いと結婚、二児の誕生と成長、そして夫の死。「この先一人でどやって暮らす。こまったぁどうすんべぇ」>
という次第

主人公の桃子さんには
祖父母らによって培われた少女から娘
東京へ出て夫の周造や二人の子供たちと作り上げた家族の主婦
夫を送り子どもたちが離れて行った後の三つの自分がある

桃子さんはそのそれぞれの自分を愛しそのさまざまな語りを耳にする
その他にも63年の人生の中で出会った人々の声も聞こえて来る
自由闊達な彼らの言葉を聞きながら桃子さんは独白するが
それらがすべて「東北弁」というから
東北弁に慣れない者には読みにくいこと甚だしい

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「おらおらでひとりいぐも」というタイトルからして
一体どこで切りどのようなアクセントで語られるのかが不明である
「私は私で独りで行くのだ」
と一応は読み取れるものの
「いぐ」は果たして「行く」なのか「逝く」なのか

これに似たフレーズは宮沢賢治の詩集の中にあるようだ
賢治の場合は妹の死を目の前にしての「いく」で「逝く」だと
そう解説してくれている人がある
桃子さんの「いく」は夫からも子どもたちからも解放されて
さてこれからは自分の生を生きるのだというわけで「行く」であろうかと
インターネットはとかく親切なのである(^^♪

テーマは
高齢者の
とりわけ高齢女性の自立?
東京育ちの私には読みにくかったのですが
なかなか面白い本でした

東北弁と一括りにされますが
これって色々とあるのでしょうね
津軽弁 秋田弁
岩手弁というのがあるのかどうかも私にはわかりませんが
桃子さんのは岩手県の遠野辺りの言葉らしい

『遠野物語』に魅かれ遠野に旅したのは
もう二十年ほと前のことでした

河出書房新社 若竹千佐子 著『おらおらでひとりいぐも』本体価格1200円





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