西坂の上の辛夷が開きました。
少しだけ風はあるものの、まずまずの散歩日和というので家の周りを歩きました。
百人一首でもよく知られた光孝天皇の歌
君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ
まあ、きょうのようなこんな日和には向かないかなどと思いながら坂を下りました。
旧暦の一月と言えば、先週までの気候にこそぴったりだったかもしれません。
道端ではまずヒメオドリコソウが目に着きました。
続いて、見方によってはよく似たと見えるホトケノザです。
写真の調子が悪くてよくわかりませんが、ヒメオドリコソウとホトケノザと、私はしばしば混同します。
手前がヒメオドリコソウで奥の背の高いのがホトケノザです
ナズナとタネツケバナもちょっと似通っていますね。
ナズナはぺんぺん草ですが、タネツケバナは種付け花で、畑の嫌われ者の一つ。
そうそう種付けされてはかないませんもね。
これで風花など舞えば、「わが衣手に雪は降りつつ」だなぁ、などと独り言ちてわが家の西坂を登りました。
それにしても、この歌の作者は、どんな「君」のために若菜摘みをしたのでしょうね。
一般には、「君がため」の「君」は天皇さんのことを指すようですが、ここは違うでしょう。
「大好きなあの人」と解釈したいと思いますが、さてどうでしょう。
そうそう、
君がため惜しからざりし命さえ
長くもがなと思いけるかな
というのね。
この歌の作者はこの世に二人とは居ないだろうといわれるほどの美貌の持ち主だったそうですから、これも間違いなく恋の歌でしょう。
「あなたを知ってもっと長く生きたいと思うようになった」なんて、末は地獄とも知らずに言ってのけているわけ。
若さというものでしょう(^^;
この歌は、第六字めが「は」か「お」かで取れる札として知られていますよね。
わざわざそう教えられて、目の前に並べて貰っても、やはり横合いから姉に掻っ攫われてしまった札。
そう、あいつはいつでも私の目の上のタンコブでした(^^♪
さて、坂上の石窯の奥では、一昨日あたりからカタクリが咲き始めています。
双葉になると咲くと言われているカタクリですが、カタクリ前線は今年どこまで進むでしょう。
この北側の斜面が一面のカタクリの花で埋まる日を待つ。
まあ、私どもはその全貌を見ることはないかもしれませんがね。