TSUTAYAの会員カードが期限切れになると連絡がきたんです。
近頃はあまりDVDなど借りないので無くてもいいようなものですが、
まあ、買い物に行ったついでに更新してきました。
そうするとDVD一枚を無料で貸してくれるっていうんですねぇ。
なら、
山田洋二監督の『小さいおうち』と即決です。
これ、
観に行かないうちに終わっちまったような・・・。
今さらストーリーを書いたって始まらないでしょう、この作品。
女中さん、
今では「お手伝いさん」と呼ばれていますが、
「お手伝いさんは見た」とかのTVドラマがありましたが、
家庭の内奥のことまでいつの間にか知ってしまうのがこの仕事ですね。
布宮タキ(黒木華、後半は倍賞千恵子)は、
奥様・平井時子(松たか子)の恋に気づいてしまうんですねぇ。
お相手は板倉正治というご亭主の勤める会社のデザイナー。
『北の国から』のあの吉岡秀隆が演じています。
こういう組み合わせはヤバイですねぇ、
ちょっとねぇ・・・。
つまり、
この映画は山田監督がはじめて手がけたと言われる恋愛映画(^^;
今でこそ「不倫」なんて十把ひとからげに言われますが、
その定義はいささか難しいようです。
よくわかりませんが(^^;
ただ、
この映画の時代というのは昭和の初期から戦時・戦中・戦後の時代です。
私ども、
小学校から中学にかけていくつもの「反戦映画」を見せられた世代としては、
「小さいおうち」の時代背景には、
悲壮感のようなものがあまり無いのがむしろ不思議。
タキおばあちゃんがそれを書かないことを、
ひ孫の世代にあたる荒井健史(妻夫木聡)もいぶかるほどです。
これね、
定型的な戦前・戦中の表現のためによくちらちら出される、
「欲しがりません勝つまでは」とか「撃ちてしやまむ」とかの標語類、
あるいは出征兵士の見送りとか空襲、広島・長崎の被ばくなど、
もっぱら荒井君がおばあちゃんにおかしいと指摘するくらいにしか出てきません。
この時代も、
庶民は結構明るく愉快に暮らしていたように描かれています。
平井家がどちらかというと小市民的な生活をしていたからかもしれませんし、
おばあちゃん自身が書きたくなかったということもあるでしょうね。
それにしてもちょっと甘くなっちゃいませんか!監督!
確かに、
類型的な戦中などは「またかね」と思わせるだけでしょう。
山田洋二監督もそのあたりをかなり気にしているなと思います。
私どもの世代なら、
映画から漏れて来るほとんどささやかな語彙からでも国際連盟からの脱退とか、
開戦とか、東京大空襲、B29による油脂爆弾の投下、あるいは「新型爆弾」とか、
そうした背景は伝わってきますがね。
松たか子と黒木華
東京近郊にあった三角屋根の出窓のある小さな家も、
やがて油脂爆弾の投下によって燃え、
そこに住んでいた奥様とご主人も、
帰らぬ人になってしまいます。
タキが亡くなったあと、
健史の手にタキが大学ノートに書き綴った自伝と、
平井時子が恋人・板倉に宛てた未開封の封書が遺されます。
この手紙がなぜ板倉に届かなかったのか、
その秘密は、
健史が時子の遺児である平井恭一(米倉斉加年)に出会うことで明かされます。
原作 中島京子 『小さいおうち』(143回直木賞受賞)